香川県善通寺の「あん餅雑煮」

意外な事実を確認!お雑煮研究所でとっくに書いていたと思い込んでいたけれど、なんとまだ書いて上げてはいなかった!
粕谷の出身地でもある香川の「あん餅雑煮」です。
あまりにも、基本の基本感があって、そう言えば、、、と今更な感じ(笑)

さて、よく変わったお雑煮、ということでメディアでも取り上げられることが多い「あん餅雑煮」。初めて会う方に話したりすると、

「えぇ~、味が想像つかない!」
「味噌の汁の中に本当に甘いあんこ餅が入っているの?」
と驚かれたり、気味悪がられたり(苦笑)

待ってくださいよ、お雑煮ってのはその地域の老若男女皆が食べているのですよ。
気味悪いマズイものが、正月の定番料理になるわけはないのです。
多少の好き嫌いはあるにしても、基本、うまいのですよ、お雑煮って奴は。

あん餅雑煮というのは、

白みそ
いりこだし
里芋
金時人参
大根
甘いあんこ餅

が入ってて、あおさが振られていました。

京都の白みそ雑煮と、具材はとても似ているでしょう?
里芋、大根、金時人参は共通ですもん。
餅があん餅っていうところに、話題は集中してしまいますが、
実は、味の決め手でずいぶん違うところは、「だし」だと思うんです。

「うどん県」香川ですもん。
だしはやはり「いりこ」なのです。
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母は、昔はいりこは箱で買っていました。
私自身、小学生の頃はずっといりこだしで育ったようで、うちでは、カツオ昆布だしはあまり使われなかったんですよね。
かつお節を削るのは、冷奴だとか、タケノコの煮物の時とかだったように記憶しています。

便利に花ガツオが売られるようになってから、我が家でもカツオ昆布だしが使われるようになったなぁ、、と覚えています。

・・・また脱線してしまいました。
そういうわけで、だしが「いりこ」であるってことは、同じ白みそ仕立てであっても味が全然違うんですよ。
私はお雑煮やさんなので、だし違いで色々と味比べをしてるんですが、「白みそ」で仕立てた時が一番、だしの違いを感じるように思うんですよね。
京都のカツオ昆布で引いた汁とは、同じ白みそ仕立てでもずいぶんと印象が変わります。

白みその産地としては、代表的なところでは、
●関西白みそ(西京みそ)
●讃岐白みそ(香川)
●府中白みそ(広島)
でしょうか。

白みそというのは、大豆に対して米麹を多く使用するので非常に甘みが強い米みそです。
白みそは塩分が抑えられていますから、昔は、日持ちがしないため、冬から初夏ぐらいまでに使われていたようです。
ですから、冬の料理に様々使われていたんですよね。
白みそを使う郷土料理を見てみたら、季節感がとても感じられる素材を使っていたりして、面白いんです。

そんな白みそ仕立て汁の中に入っている餅が「あん餅」なのが、やはり変わってるね!と言われるポイント。
「ねぇ、本当に甘い、あのあんこ餅なの?」と念押しで尋ねられることもしばしばですが、
そうです、あの、甘いあんこ餅です!

粒あんで、たっぷりとあんこが入っています。
大体、年末の30日に餅をついてあんこ餅を作り、正月に使うので、
元旦、二日・・・と日が経つにしたがってあん餅は硬くひびが入ってきて、
鍋で煮てやわらかく戻している間にあんこも出てきてしまうようなことが
家庭では多くあったと思われます。
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でもね、いりこだしの白みそ仕立ての汁の中で、甘いあんこ、なかなかこれが良く合うのですよ。
甘しょっぱい感じって、ハマる味でしょう?
これが、良く合っておいしいのです。

そもそも、なんで甘いあんこ餅を雑煮に入れるようになったかというと、
高松藩の「讃岐三白」政策のひとつで、和三盆の産地だったんですよね。
だけど、産地でありながら、白砂糖は高級品で、作っている庶民の口にはなかなか入るものではなかったんです。だから、正月ぐらい砂糖を食べて贅沢をしよう!と餅の中に隠して(笑)、正月の贅沢をするようになったんですって。バレた時に備えて、塩入あん餅も作ってたとか。(嘘か本当かは定かではないがw)
白みそ自体も庶民には贅沢なものですから、甘いあんこ餅も含めて、目いっぱい正月のハレの日を楽しもうとしている料理だったんですね。

そして、地域や家庭によっても少々異なるようですが、
あおさを振るとこれまた絶妙に美味しいんですよ。
甘さと、みその塩みと、そしてアオサの磯の香り。(いりこだしも)
この絶妙なバランスがうまさの秘密か。

ぜひ一度食べていただきたいお雑煮です。

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