「これはたまげた!」の筑前あさくら地域「蒸し雑煮」

2016/09/24カテゴリ:タグ: , , ,

お雑煮やさん粕谷は、全国各地のお雑煮を調べては喜んでるわけですが、
初めてこの雑煮のことを知ったときは、
「ひゃあ~!卵液だしで蒸しちゃうんですか!」と驚き、狂喜乱舞しましたよ。

お雑煮研究してて幸せな気持ちになる瞬間ですよね。
この多様なご当地雑煮たちに、敬意を払うと共に、日本の地域食の豊かさに感動しちゃう、ってもんですよ。

それで、もっとこの雑煮のことを知りたい、現地に飛ぶか、と考えていたそんな時に、
幸運はやってきた!
うちのfacebookページに地元の方が書き込みをしてくれたのですよ。

キャーーーーーーー
喜びましたよ。そりゃあもう。
誰もいない事務所の中で、ぴょんぴょん跳ねながら、すぐさまに返事しましたわ、もちろん。
そしてメッセージでやりとりしてたら、近々試食会をすると言うではないですか!

「わたし、行きたーーーーい!」と
ごめんなさい、もうそろそろ落ち着いた風情があってもよいお年頃の四十路粕谷、事務所の中でひとり叫びましたよ。メッセージもしましたよ。

・・・それが、きっかけになったんです。(笑)

私はとにかく単純に、もっと蒸し雑煮のことが知りたいよーという強い欲望に駆られてのことだったんですけど、先方は思惑を持って(笑)ご連絡をいただいた模様。
相思相愛だったんですね。(*^^*)
ってことで、「筑前あさくら蒸し雑煮プロジェクト」に参加させていただくことになったのです。

お雑煮の面白さのポイントのひとつは、同じ県内であっても、同じ市内であっても、必ずしも同じ雑煮ってわけじゃないってこと。
蒸し雑煮は、朝倉市内でも上秋月、甘木、そして筑前町、東峰村の一部で食べられているもので、同じ小学校の学区内でも全然違うタイプの雑煮が混在しているんです。
今ね、小学校の子供たちにアンケート調査をされているんですが、
私もその一部を拝見しましたが(最も興味深いとこだったので、無言でアンケート用紙をめくることに没頭していた粕谷がおりましたw)、味噌タイプのものあり、あずき雑煮のタイプあり、、、素敵だ。。(ため息)と、天井を見上げてしまいましたよ。

お雑煮は、家庭の、しかもお正月だけの料理でしたから、ご近所のお雑煮のことも知らないことが多いちょっと閉鎖的な料理です。
お雑煮の中身についておしゃべりをしてみて初めて、「えーっそういう雑煮なの?!」と知って驚くちょっと不思議な存在なんですよね。
だから、今回、このプロジェクトが立ち上がって、あさくら地域の飲食店さんが集まってみて、初めて「そうだったんだ。。。」と、気付かれたってこと、どうやらあったみたいですよ。(*^^*)
私としては、うふふふふとまた幸せなイタズラめいた喜びを感じてしまいます。
だってね、お雑煮の面白さはね、気づいてしまうと誰かに話さずにはいられない料理なんだもの。
そうして話していくうちに、また違うお雑煮が姿を現してくれるの。
宝箱を次々開けていくような気分になっちゃう。(*^^*)

「ウチでは・・・」って声が色々聞こえてきて、私は楽しくて楽しくてしょうがなくなっちゃいましたよ。入れている具材もちょっとずつ違ったりしてへぇ~って感じ!

さて、今回は、料理人さんがまずは実演試作をしてみて、皆で試食しながら意見交換をする、という場でした。
旅館の泰泉閣の料理長が、説明しながら実演してくださいました。
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泰泉閣オリジナルのタイプと、地元の方に中身を聞いて作ったタイプの二つのパターン。

さすが料理長!素晴らしく美しい蒸し雑煮で、惚れ惚れします。
卵液だしで蒸されているのは共通です。
器は、茶碗蒸しのような小ぶりのものではなく、丼だ、と言われる方も多くいらっしゃる。

具材についても、まだアンケート調査中ですが、
試作で作られたバージョンは、
筑前煮のような里芋レンコン等根菜類が入って、ブリ入りのタイプ。

伺いながら、あっそうか、「筑前煮」の発祥の地じゃないの、なるほどと思う私。

そして、丸餅がまるで茶碗蒸しのようなこの蒸し雑煮の中で蒸され、つきたて餅と変わらない柔らかさに仕上がっている。
あぁ、蒸す意味あるわよねぇ~、、と思う。

何でこんな雑煮になったのかはまだ調査中ではあるけれど、どうやら茶碗蒸しを正月料理のひとつとして出されていたようで、その中に餅を入れて雑煮として食べたら効率的だったから、とか。
あるいは、この地をおさめていた黒田藩では、鶏を飼う政策を打ちだしており、その昔も庶民が卵を食べる習慣があったからとも。
さて、はて、真相は如何に?!
でも、地域がかなり限定されて分布しているところを見ても、黒田のお殿様の鶏政策がかかわっていそうな雰囲気、かしら。

プロジェクトの前後に、色々とドライブで地域を回ってくださったんですけどね、
これがまた、雑煮的にも魅力的なものがいっぱいな地域だったのです。

丼のような器・・・焼き物の里なんですよね。

小石原焼、高取焼。
高取焼宗家の登り窯や水力を使う唐臼も見学させていただきました。
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そして、筑後川では鵜飼いがされている、ということ。鮎ですな。
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歴史的にも魅力的な地域資源というか物語がいっぱいありそう。
来てみてますます興味が募ってしまった粕谷でした。

お雑煮やさんとしても商品開発をお手伝いさせていただくことになり、かなりとっても楽しみになっています。

このプロジェクトについても、また経過報告させていただきますね!
縁とは不思議なもの。お雑煮研究はとにかく楽しいのでござる!